民法1-15 時効 2010年問28 / 行政書士試験の勉強は、開業の準備をしてから始めよう

時効中断の効力に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし誤っているものはどれか。

1、債務者Aの債権者Bに対する債務の承認によって、被担保債権の時効が中断した場合に、物上保証人Cは、当該被担保債権について、生じた時効中断の効力を否定することはできない。
2、物上保証人Aに対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者Bに通知した場合は、被担保債権についての消滅時効は中断する。
3、要役地である甲地をABCの三人で共有しているが、承役地である乙地の通行地役権について、消滅時効が進行している場合に、Aのみが、通行地役権を行使して、消滅時効を中断した時は、時効中断の効力は、ABCの三人に及ぶ。
4、甲地の共有者ABCの三人が乙地の上の通行地役権を時効取得しそうな場合に、乙地の所有者Dは、ABCのうちだれか一人に対して、時効の中断をすれば、時効中断の効力は、ABCの三人に対して及ぶ。
5、A所有の甲地をBCの二人が占有して時効取得が完成しそうな場合において、AがBに対してだけ時効の中断をしたときは、Bの取得時効のみ中断され、Cの取得時効は中断されることがない。

胡桃「これは基本的な判例の知識を問う簡単な問題だわ」
建太郎「おう。そうだな」

胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「債務者Aは債務を承認しているということで、時効が中断するな」

(時効の中断事由)
第百四十七条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
二 差押え、仮差押え又は仮処分
三 承認

胡桃「問題はその効力が物上保証人に及ぶのかどうかだけど?」
建太郎「及ぶと解するのが判例だよな。第三百九十六条にも……」

(抵当権の消滅時効)
第三百九十六条 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。

建太郎「その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。とある通りだ。被担保債権の消滅時効が中断すれば、物上保証人も消滅時効中断の効力を否定することはできないと考えるべきだよな」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「第百四十七条の二号に該当するわけだな。二 差押え、仮差押え又は仮処分だ」
胡桃「差押え、仮差押え又は仮処分は、それだけでは効力が生じないわよね。例えば、選択肢2の場合、物上保証人Aの物件を差し押さえただけでは、債務者Bはその事実を知ることができないわよね」
建太郎「通知が必要だったんだよな」

第百五十五条 差押え、仮差押え及び仮処分は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の中断の効力を生じない。

胡桃「そうね。というわけで、選択肢2の場合は、これを債務者Bに通知したとあるから、被担保債権についての消滅時効は中断する。ということね」
建太郎「うん。OK」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「条文そのままの事例だな」

第二百九十二条 要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の中断又は停止があるときは、その中断又は停止は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。

建太郎「要役地の共有者の一人が時効を中断させればその効果は、ほかの共有者に対しても及ぶんだな」
胡桃「そうよ。そうしなければ、要役地の共有者のうち、地役権を行使できない人が現れることになるわけだけど、それを登記する方法がないからよね」
建太郎「うん。そうだな」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「これも条文そのままだな」

第二百八十四条 土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得する。
2 共有者に対する時効の中断は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない。
3 地役権を行使する共有者が数人ある場合には、その一人について時効の停止の原因があっても、時効は、各共有者のために進行する。

建太郎「2項に、共有者に対する時効の中断は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない。とある通りだ」
胡桃「そうね。つまり、要役地を共有している者にとっては、地役権は取得しやすく、消滅しにくい制度になっているということよ。ということはどういうことか分かるわね?」
建太郎「乙地の所有者Dは、ABCの全員に対して時効を中断させなければならないということだな」
胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「時効中断の効力は相対効だという話だな」

(時効の中断の効力が及ぶ者の範囲)
第百四十八条 前条の規定による時効の中断は、その中断の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。

建太郎「条文にある通り、甲地をBCの二人が占有している場合に、Bに対して時効を中断してもCに対してはその効力は及ばないわけだな」
胡桃「そうね。占有者が土地の一部についてのみ時効取得することができることを考えれば、当然の規定だとわかるわね」
建太郎「というわけで答えは、4だな」

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